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トップページはどうやって決める?ーグローバルB2B企業にみるトップページの役割

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トップページはどうやって決める?ーグローバルB2B企業にみるトップページの役割
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トップページに社内事情を持ち込んではいませんか?

企業サイトリニューアルの際、トップページの構成をめぐって部門間の調整に悩まされたことのある人は少なくなくないでしょう。IR部と広報部によるニュース枠のファーストビュー紛争、CSR部とブランド部のスライドショー掲載順合戦、宣伝部とブランド部のメインバナー争奪戦など、トップページは領土紛争が多発しやすいページですよね。

Soldiers fighting

泥沼の戦いになる前に、領土の交換や分割などして合意にこぎつけられれば、平和が訪れることでしょう。さぁこれで、妥協を重ね、目標を忘れ、ユーザ目線に目をつぶって、トップページ平和条約が結ばれましたね。関係者一同ホッと胸をなでおろします。

いやいやちょっと待って下さい。そんなトップページをみた訪問者からは、あなたの会社はどう思われるでしょう?「なんだか色々あるけど、本当に伝えたいことはよくわからないな・・・」こんなふうに思われても仕方ないですよね。

あなたの会社のトップページ、どれが最適?

トップページ(以下TOP)は、社内の部門をなるべく満足させることが目的ではありません。その役割を明確にすることが大切です。そこで今回は、グローバルB2B企業を例に、TOPを役割別にご紹介します。あなたの会社はどのトップページの役割が当てはまるでしょうか?

MORGAN STANLEY

繰り返し訪れたいトップページ

Morgan StanleyのTOPのファーストビューはまるで雑誌の表紙のように、月1〜2回更新されます。表紙は、研究、マクロ経済、医療、技術など読みごたえのある充実した記事に誘導されます。

morganstanley.com capture
morganstanley.com capture
週1〜2回のペースで更新される。

ファーストビュー下にあるグリッドエリアもなんと週1〜2回のペースで更新されています。

TOPには、ニュースや会社情報(プレスリリース、製品ピックアップ、CSR機能など)は一切掲載せず、記事のみがあります。目的があるユーザはグローバルメニューに行くはず、という判断です。(※因みにこの判断は欧米グローバル企業では珍しくありません。グローバルメニューについては次回記事で詳しく解説します。)

ところでなぜ、こんなにも多くの記事を掲載しているのでしょうか?

このTOPを見たユーザは、早いサイクルで記事が更新されることに気づき、再訪問するメリットがあると考えます。そしてどれか一つの記事を気に入れば、更新ニュースレターを購読しようとする。仮に、ユーザが財政問題に頭を痛めているところにニュースレターが届いたら、きっとこんなふうに思うでしょう。「Morgan Stanleyなら、何か良い考えを持っているかもしれない」。

このイメージ想起のために、彼らはTOPページを更新し続けています。

TOPの役割1:リピーターを増やす

ニュースレターやSNSでつながれば、ユーザとの緊密な関係をつくる有効な手段になります。そのためには「頻繁に更新しているな」とすぐわかるTOPが必要です。ただしそれなりの予算と、部門の要望を無視する勇気が不可欠です。



このTOPと相性の良い企業

  • 企業ブランドのファンを育てたい企業
  • ブランド想起をもっと促進したい企業
  • 市場の変化が速い市場に関わる企業
KOCH INDUSTRIES

ブランドメッセージを強く印象づける

Koch Industories*1は、 アメリカで2番目に高い収益を上げる一方で、大きな物議を醸している民間企業です。この1000億ドル企業は、石油ビジネスによる環境汚染への批判をかわすため、寄付活動を通じて政府の政策に影響を与えていることから、リベラルなメディアの注目を集めています。Kochはアメリカで最も黒い会社の1つとされています。しかし、企業サイトのTOPをみると、ポジティブで力強い企業メッセージ(それを信じるかどうかは別として)を伝えている、優れた事例です。

kochind.com capture
抽象的なメッセージと、「商品を見る」と「Kochをもっと知る」のボタンが並ぶ。
kochind.com capture
TOPは物語で埋め尽くされる。

Kochは、最新情報よりも、すべての訪問者の目に企業メッセージが映るようにしたいのです。メッセージをみた訪問者は(疑いながら)2つのボタンのどちらかを押すと、正義感に溢れ、自由でオープン、そして社会のために戦う彼らの姿が、素晴らしく良くできたコンテンツでユーザを説得してきます。

さらにファーストビューの下にも、Kochの製品や社会課題への向き合い方、刑事司法改革、農家、労働者に関係した話題など、人に焦点をあてたドキュメンタリータッチの物語が展開されています。

TOPの役割2: メッセージを直接届ける

ブランドメッセージが最も強調されるTOPです。フェイクニュースがはびこる中、ブランドは自ら情報をコントロールする必要があります。噂や報道を通さず、企業メッセージをユーザに直接届けたいときにはとても有効です。



このTOPと相性の良い企業

  • ネガティブな印象を持たれている企業
  • 企業方針などを大きく変更した企業
  • 閉鎖的なイメージを変えたい企業
BASF

効率と統一を優先したデザイン

ドイツの化学系企業BASFは、4言語のグローバルサイトと20カ言語60カ国以上のローカルサイトを運営しています。たくさんのウェブサイトを運営する際、品質と効率を維持するのは難題ですが、彼らはそれを実行しています。

basf.com capture

BASFのウェブサイトは、デザインをモジュール化し、全てのローカルページに展開しています。コンテンツ量は国によって異なりますが、デザインテンプレートは統一され、メインビジュアルは比較的控えめに掲載し、国毎に変えています。TOPに視覚的インパクトが少ないのは、ネット速度の遅い国を基準にデザインされているからです。

メインビジュアル下部に並ぶエリアには、各メインコーナーを補完するミニマムなデザインのショートカットが、国の特性を考慮しながら配置されています。例えば、日本のローカルサイトは採用ページへのショートカットを最優先しています。

basf.com capture
ローカルサイトのTOP。モジュールを活かしながら部分的に現地化している。

モジュール化されたデザインは隅々まで展開されています。例えば、国ごとやサービスごとに表示することができる公式SNS紹介ページも、モジュールに従って制御されています。

basf.com capture
ニュースリリースと並列して公式SNSも表示。様々な方法で更新情報の表示が可能。

この一見ドライで効率主義なスタイルは、BASFの企業イメージにもなっています。ドイツらしい企業文化が産んだ、合理的なアプローチと言えます。

TOPの役割3:合理的な多言語&ローカル展開を重視

トップダウンにより、ブランド統一とメンテナンスが容易になります。しかしルールが厳格で柔軟性に欠けるため、変化へのスピードやローカル戦略には対応が難しい場合があります。



このTOPと相性の良い企業

  • ローカルチームの暴走を防ぎたい企業
  • 製品サービスが世界中で統一されている企業
  • 本部主導で多言語&ローカルサイトを運営したい企業
3M

グローバルサイトは各ローカルへのハブ機能だけ

BASFと同様、3Mには世界中にウェブサイトがあります。しかしBASFとは違い、100カ所以上のローカルサイトへのリンクがあるだけです。 IRページもプレスリリースもなく、企業コミュニケーションのためのコンテンツは存在しません。

3m.com

またBASFのような合理的な統一と違い、3Mの場合はデザインテンプレートはある程度用意するものの、各ローカルサイト毎にかなり柔軟に展開されています。

3m.com local website captures
内容が程度同じだが、ローカルサイト毎に大きく違う会社紹介のページ比較

この方法は、ローカル毎に効果的なコミュニケーションを図ることができます。一部の国で上手くいったメッセージが他では空振りする、というのはよくあることです。

この方法なら、本部の負担が軽くて喜びたくなるかもしれません。しかし、これができるのは3Mのような、強力な企業文化と高い知名度がある企業だけです。3Mの構造を選択することができる日本企業は限られています。

TOPの役割4:ローカルサイトに振り分ける

ローカルサイトに誘導するハブ機能としてだけのグローバルサイト。以前、この構造は日本企業に多くみられましたが、今は少なくなりました。



このTOPと相性の良い企業

  • 知名度が高く、各国の独立性が高いグローバル企業
  • 本部の発信力や求心力を必要としない企業
  • B2BよりもB2C企業向き
GE

絶え間なく変わるデザイン

GE.comの以前のTOPでは、GE社の生産能力と働く人にフォーカスしたストーリーを、ドキュメンタリー形式で紹介していました。

ge.com 2012 capture
ヒューマンストーリーに焦点を当てた記事がTOPとなっている。

このようなコミュニケーションをする理由は明確です。当時はコストカッターとして名高いJack Welch*2 からJeff ImmeltにCEOが交代となったタイミング。その社会的評判をかわそうとするイメージ戦略の一環と見受けられます。

その後また、GEが2016年にPredix Industrial OSを発表してIT企業になると宣言すると、そのためにTOPだけが大きくリニューアルされました。

ge.com 2016 capture
“digital industrial” にフォーカスした2016年のデザイン

では現在はというと、TOPで「探していることはありますか?」と聞くだけ。あとは幾つかの事業会社のリンクがあるだけです。

ge.com 2017 capture
最近のTOP。複数のウェブ・サイトを横断して検索できる。

ここでなにかを検索すると、GE Power、GE Transportation、GE Healthcareなど、独立したウェブサイトを横断して「各事業サイトを串刺しにした結果」が表示されます。

エジソンが創業したGEは、これまで何度も大きな経営改革を行ってきました。その変革は、成功と失敗の連続でした。このTOPも失敗するかもしれません。しかし、固定観念に縛られず先駆者として有り続けようとする姿勢は、このTOPで十分に伝わってきます。

TOPの役割5:イノベーターであろうとする

イノベーターであり続けようとするなら、トレンドを追いかけるのではなく、先導する立場になるべきです。TOPだけの失敗なら思い切ったこともできるかもしれません。日本がもう少しだけ失敗が許される文化になりますように。



このTOPと相性の良い企業

  • ある分野の変革者でありたい企業
  • まずは試してみる文化がある企業
  • 決定権プロセスがシンプルである企業

グローバルB2B企業は、TOPの価値を最大化する

5つの例はそれぞれ違ったTOPの役割を示してくれていますが、共通しているのは社内事情を考慮したポータル型のTOPではないということです。一方、日本のB2B企業サイトのトップページは社内事情や競合相手の横並び意識を織り込んでしまい、第一印象がぼやけてしまうケースがまだ数多く見られます。

あなたの会社はどのTOPが最適でしょうか?

さぁ、リニューアル計画が始まったなら、TOPのミッションを明確にして、戦いに備えて下さい!

LINKS & REFERENCES

Referenced websites:

Further reading:

WRITER

jb

ボウスキル ジェイムズ

JAMES BOWSKILL
取締役兼CCO / CREATIVE DIRECTOR

University College of Ripon & York St. John卒業。イギリスヨーク州のMyKnowledgeMap (e-learning company) にてデザイナー兼プロダクションマネージャーとして勤務後、2001年に来日し、現在に至る。クリエイティブディレクション、アートディレクション担当。

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