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AI(人工知能)の時代にデザイナーはどんなスキルが求められるのか

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AI(人工知能)の時代にデザイナーはどんなスキルが求められるのか
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AI(人工知能)の時代、デザイナーに求められるスキルはどう変わっていくのか?

こんにちは、クリエイティブディレクターのジェームズです。 2016年9月、わたしはトークイベントUX Talk Tokyoに登壇し、人工知能✕デザインというテーマでお話をしてきました。そのときのスライドはここでみることができます。本記事はその内容に加筆したものです。

デザインはいつも遅れてやってくる

最近は人工知能についての情報や話題で盛り上がっていますね。でも今はほとんどの話題はテクノロジー面や新しいビジネスの可能性、社会への影響についての話です。ですから「人工知能とデザイン」の話をするには少し早すぎるかもしれません。でも遠からず、もしかしたら来年あたりには、このテーマは徐々に盛り上がることになるはずです。なぜなら、テクノロジーやビジネスのコモディティ化が進むと、デザインはいつも必ず差別化するために必要になってくるものだからです。

というわけでわたしは、デザイナーという立場から人工知能がデザインにどう影響するのかを自分なりに調査している中で気づいたこと、又それと関連してbotのことも気になっているので、まとめてお伝えしたいと思います。

botの成長でUIデザイナーは不要になるのか?

Facebook Messenger、Google Allo、LINEのチャットを「会話インタフェース」と呼んでいます。この会話インターフェイスは今年、botの技術進化によって大きな変化を遂げ始めました。たとえばbotに向かってタスクをお願いしたり、買い物や予約をしたり、勉強を教えてもらったり、荷物追跡をしたりと、幅広い用途で会話インターフェイスが使われ始めました。しかしこれは成長の始まりに過ぎません。これからbotが順調な進化を遂げれば、わたしたちの生活の色々なところに入り込んで来ることは容易に想定がつきます。

Conversational UI
Google’s Alloを使ってレストランを予約(左)、FacebookのCNNボットから最新情報をきく(中)、yndボットとショッピング(右)

「会話インタフェース」を使う敷居はとても低いと言えます。それは使い方がとても単純なこと、多くのユーザが使い慣れているということ、既にスマホの中にアプリが入っているということなどの理由があります。

一方で「会話インターフェイス」は、デザイナーにとって気がかりなトレンドかもしれません。なぜなら「会話インターフェイス」はどれもよく似ていてバリエーションに乏しいし、そもそも既存アプリのAPIの上に構築することができるので、新たにUIデザインが必要だとは思えません。

では、「会話インターフェイス」がもっと広がったら、デザインをする必要なくなってしまうのでしょうか?

会話をデザインする

googleデザイナーのAdrian Zumbrunnenは、「会話インターフェイス」のことをもっと深く理解するため、自己紹介ウェブサイトを実験的に、“チャット画面での会話”のようにつくってみたところ、色々と興味深いことがわかってきました。

Designer Adrian Zumbrunnen's Conversational UI
彼のウェブサイトとチャットすることで、デザイナーAdrian Zumbrunnenについて知る

Zumbrunnenはブログの中で、一般的なウェブサイトではちょっとしたジョークや感情の表現は難しかったが、会話インターフェイスではそれが伝えやすく、自分の性格や個性を表現しやすかったことに気づいたと書いています。

彼はまた、コメントをバブルアニメーションにすると、その会話に血が通っているような感覚になるので、まるで本当に会話をしているように受け取ってもらえているとも気づきました。 さらには、初めて訪れるユーザに「こんにちは!」、二度目の訪問なら「お帰り!」という些細なあいさつの違いが、知性ともてなしの心を感じてもらえるし、今後AIによって頭が良くなれば、ユーザーはまた訪問してみたくなるはずだとも述べています。

さらに、会話のフレーズを個別につくっても自然な会話にはならず、結局はすべての会話について頭を巡らせ、それが自然な感じかどうかいちいち会話の流れを試さなければならなくなります。こうなるとデザイナーは今後、ライティングでデザインできるスキルが必要になり、更に人工知能が組み込まれた場合、ライティングによるブランドコントロールに注目が集まることになりそうです。

デザインとはコトバをつくること

ワシントン・ポストに今年始め、シリコンバレーの次のホットな仕事は詩人だ という記事が掲載されました。記事ではハイテク分野での「創造的ライティングスキル」のニーズの高まっていることについて書かれています。それによると、マイクロソフトのバーチャルアシスタントAIである「CORTANA」の開発には詩人、小説家、劇作家、元テレビライター含む6人のライティングチームが存在しています。このチームはまるでこれまでのデザイナーチームのような役割を担っています。「CORTANA」は女性かそれともバイであるべきか?ユーモアのセンスはあるのか?など、アシスタントとしてのキャラ設定を、会話という言葉でデザインしているそうです。

またシリコンバレーのスタートアップBotanic inc.は、会話インターフェイスやアバターの開発を専門としています。彼らは新たな顧客ニーズに答えるため、UXディレクターとUXリサーチャーに加え、ライティングスキルを持つ会話デザイナー(Conversation Designer)や対話デザイナー( Dialogue Designer)を追加しています。その一方で、この会社にはUIデザイナーやアートディレクターが在籍していません!

AI時代のデザイナーはブリッジ役に

AIの時代に向けてライティングのスキルを磨いている人はとても先見の明があると思います。でもそれでAI時代の備えは十分でしょうか?

ここで今年初めの米国有名雑誌「Fast Comany」の、150億ドルのAI産業のデザイナーガイド>という記事を紹介します。

AI産業の発展に向け、デザイナーはひとまずAIの性能を経験し、AIの性質と構造を概念的にでも正しく理解し、少なくともエンジニアと人工知能のことで雑談ができるようにしておくと良いそうです。また収集されたデータからユーザーニーズを見つける訓練をすればそこに付加価値を与えることができるようになるし、逆にデータを見方につけなければ、新しい提案ができなくなってくるそうです。

訓練によりエンジニアやデータサイエンティストとの会話ができるようになれば、そのデザイナーは、人とサイエンスのブリッジ役という、新しい価値をもった人材になり得るわけです。

デザインに繊細な感情を取り込む

AI時代によりよいデザインをするなら、ユーザー心理を今までより一層深く理解するために、人の心理というものがどのように機能するかをより体系的に理解するべきでしょう。

著名なデジタルエージェンシーHugeのUXデザイン・マネージング・ディレクターであるシェリーン・カジムは「感情的UIの紹介」の中で、心理学者ロバート・プルチックが1980年に考案した人間の感情をマッピングした「プルチックの感情の輪」について述べています。

Plutchik's Wheel of Emotions
Plutchik’sの1980年の感情ホイール(左)、そしてそれに対するSherine Kazimの絵文字マッピング(右)

カジム氏は、デザイナーは一般的に輪の中心付近の強い感情にフォーカスしてデザインを考えるが、リアルな感情はもっと複雑なので、デザインするときにはもっと繊細な感情を取り込み、豊かな体験をもたらすべきだと言っています。

こうした繊細な感情に向けてデザインするのは簡単ではないものの、テクノロジーと違って感情は簡単には変わらないから、デザインする上でもっと力をいれる価値があると言えるでしょう。

製品やプラットフォームが変わっても、私たちの感情スペクトルは変わりません。

– Sherine Kazim

とはいえビジュアルデザインは必要

言葉でデザインを行い、エンジニアとの会話が弾み、人の感情を体型で理解すれば、AIの時代でもデザイナーを続けることができるでしょう。しかしだからといってビジュアル表現が全く必要ないとは言いきれません。様々なサービスがコモディティ化すると、視覚的な差別化は必須になりますから。

でもまだ親しみやすさからはどれも程遠い気がしています。AIの視覚化にはこれからもっとビジュアルデザイナーの力が必要なのです。

Visual identities for major AIs
今日メジャーなAIのビジュアルアイデンティティ。(左から右へ:AppleのSiri、MicrosoftのCortana、IBMの Watson、AmazonのAlexa、そしてFacebookのM)

How Cortana Comes to Life in Windows 10

日本はリーダーになれる

親しみやすさのためにアニメーター、モーションデザイナーは、AIをもっと魅力的にデザインすることができそうです。日本には白い犬やマリオなど、既に数え切れないほど多くの世界的に優秀なキャラクターが存在します。これらの才能がAIの視覚化とコラボレーションすれば、AIに愛着を持てるようになるために長くはかからないでしょう。

ディズニーやサンリオなどは、保有するキャラクターをライセンス提供できる絶好のポジションにいます。東京メトロでのドラえもんの採用をさらに展開して、インバウンドのためのドラえもんAI案内に発展すると楽しそうです。日本人と外国人に愛されるキャラクターの、多言語AI化は勝利の方程式になるかもしれませんよ。

今後はビジュアルデザイナーとして、キャラクターデザイナーやアニメーターは多くの需要を見込めます。世界中で愛されるキャラクターを収益化するノウハウと人材が豊富な日本は、AIビジュアル化のリーダーになる素質が十分にあると思います。

ブランドコミュニケーションに向かうAIのデザイン

今後、AIを介したユーザーとブランドとの会話はごく当たり前のこととなるでしょう。AIを介したブランドはこれまでのように堅苦し過ぎたり、商品の購買をあおるような一方的なプロモーション手法では立ち行かなくなる可能性があります。ちょっとした会話のやりとりや親しみやすさをどう創り出すかがブランドコミュニケーションの大切なポイントになります。

AI時代のブランド戦略は、これまでになく人間の感情と深く関係していきます。デザイナーの仕事はブランドがより人間らしいコミュニケーションをするために手助けをするということなのです。

長文に目を通していただきありがとうございました。

WRITER

jb

ボウスキル ジェイムズ

JAMES BOWSKILL
取締役兼CCO / CREATIVE DIRECTOR

University College of Ripon & York St. John卒業。イギリスヨーク州のMyKnowledgeMap (e-learning company) にてデザイナー兼プロダクションマネージャーとして勤務後、2001年に来日し、現在に至る。クリエイティブディレクション、アートディレクション担当。

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