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Chatbot(チャットボット)はなぜ成功しない? ー UX視点でfacebook Messengerを調査してみました

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そもそも成功と言えるChatbotはあるのか?

Chatbot(チャットボット)って知っていますか?

ざっくり言うと、チャットを使って会話できるロボットのことです。中には人工知能を持つ頭のいいロボットから、予め用意された言葉だけで話すChatbotもあります。そして2016年にfacebookやLINEがChatbot開発ツールを公開したことで、Chatbotは急激に増殖しました。例えば、相手がロボットだということを一瞬忘れそうになる心理カウンセラーの「Woebot」はChatbotの伸び代を感じさせてくれます。

ところがMessenger上のChatbotをいくら調べてみても、存在感のあるChatbotや、ビジネス的に成功が見えているChatbotは見つかりませんでした。

そこでACOのUXデザインチームは、facebook Messenger上のChatbotを、UX視点で調べてみることにしました。(ちなみにLINEはあまり刺激になるChatbotの事例やニュースがなかったため、今回の調査からは除外しました。)

CHAPTER 1 – Chatbotが広がらない6つの理由

1. ちゃっとぼっと? 知らないないぁ

2016年に米国で行われたある調査で、成人の78%が「Chatbotという言葉を聞いたことがない」と答えたそうです。Messenger上のChatbotのことをテレビや雑誌、ウェブ上で認知されるためのきっかけがなく、殆どの人が存在すら知らない、というのが実情です。一つだけでもサクセスストーリーがあれば勝手に広がるんでしょうけどね。

2. そもそもどうやって見つけるの?

スマホのアプリであればApp Storeなどがあります。では、Chatbotはどこで出会えるのでしょうか? それには自力で検索して発掘するしかありません。ということは、自分が必要だと思えるChatbotに出会う機会はほぼありません。さらにはChatbot開発者の多くはランディングページを用意していないので、Googleの検索にも引っかかってこないんです。

3. なぁんだ、こんなもんか…

仮に見つかったとしても、ユーザはSiriのような受け答えができると期待します。ところが残念なことにほとんどのChatbotはそのレベルには至っておらず、期待したほど会話も成り立たないので多くのユーザは失望しています。 ユーザはそれほど忍耐強くはありません。ガッカリした後はもう、そこに戻ってくることはないでしょう。

4.いまどきシェアできないなんて…

あなたがもし気に入ったサービスがあったら、アドレスをコピーしたり、共有ボタン使ったりして、友だちに伝えますよね。では、お気に入りのChatbotをシェアする方法はどうやるのでしょう? 実際にはChatbotを共有するための方法はややこしく、それをシェアしづらいのが実情です。

5. 学習しないAIって…

みんながChatbotを使ってくれれば、ChatbotのAIはどんどん頭がよくなります。しかし、使われる機会が少ないから学習されません。この負のループがChatbotの学習の機会を奪っているのです。頭の悪いChatbotなんて誰も使いませんよね。

6. もうちょっと空気読んでよ…

Chatbotの会話のズレ加減ときたらもうヒドいもんです!ユーザの意図を誤解し、無関係の話が展開され、ユーザの入力内容を全く理解せず、かわいく謝罪されたり、何度も入力を求められ…Chatbotはユーザをイライラさせるのが得意のようです。

Chatbotがユーザーを理解していないときの会話

CHAPTER 2 – 「こりゃダメだ!」ザッカーバーグが改善したUX的なアップデート

今年春にMark Zuckerberg氏は、Messenger内のChatbotがうまくいっていないこと受けて、3つのアップデートを発表しました。

1. ユーザは文章書いてくれないから、選択式に

ザッカーバーグはAIの強力な支持者です。 でも今のままだと頭のわるいAIが増殖する一方です。そこで少しでも改善するため、Chatbotの会話にテキスト入力だけでなく、事前に用意した言葉を複数並べてそのどれかを選択できる「選択式のタップ入力」を用意しました。

これってChatbotなの?と言う素朴な疑問はさておき、とにかくこれで最低限の会話だとしても、皆に少しでも体験してもらおう、というわけです。

UNIQLOのChatbot。選択ボタンを使用してユーザが商品をすばやく絞り込めるが、テキスト入力で定型文を見つけることもできる

Nike’s Breakfast ClubのChatbotでは、返信用に絵文字を使用。簡単なワークアウトは💪、タフなものは😩 ─ 楽しく直感的

ユーザがChatbotを見つけやすくなったDiscoverコーナー

2. Chatbotを見つけにくいので、App StoreのChatbot版が登場

Messengerアプリに「Discover」という新しいタブが追加されました(USのみ利用可能)。ユーザはカテゴリ別検索や、おすすめのChatbotを探せます。これでもっと多くのユーザがChatbotを知り、開発主はChatbotの宣伝をする機会を得ることができます。

興味深いのは、ここでは “Chatbot”という言葉を使わず、「企業、場所、サービスと直接接続することができる」という言い方で、友人と同列にいることを強調しています。こうすれば少しはみんなが気づいて気軽に使ってみようと思うかもしれません。

3. 認知が広がらないから、グループ内にもChatbotを追加できるように

さらにMessenger 2.0は、Chatbotをグループチャットに追加することもできます。 たとえば複数人のグループチャットにSpotifyを追加してみんなで曲を選び、パーティで曲を再生する、といった感じの使い方ができます。

その他にも、訪れる場所やレストランを決めたり、スケジュールや旅行計画を決めたり、フォトアルバムをまとめたり、色々な使い方が想像できますね。これで少しはみんなに認知されるようになるかもしれません。

さて、このアップデートによってMessengerのChatbotはどこまで認知され活躍の幅を広げられるでしょうか?もしあなたがChatbotの運営者になる立場なら、今すぐChatbotを始めるべきなのでしょうか?

UXデザインチームでは、既に公開されている沢山のChatbotを調査(ゴミのようなChatbotも含めて)した上で、運営者側のメリットを以下のうにまとめました。

Chatbotの設計に最適なのは、UXデザイナーよりも脚本家、詩人、心理学者

「試しにChatbotをつくってみよう!」と思ったら、それほど難しい技術は必要ありません。ところが……本当に魅力的な体験は、緻密なUXデザインと最適なサービス設計だけではできません。これまでこの業界にいなかった、新しい人材がどうしても欠かせないのです。

では、それはどのような人材か?

去年のワシントン・ポストに、「シリコンバレーの次の人気のでる職業は詩人だ」という記事がありました。 これはChatbotや音声での会話をデザインするための人材のことを指しています。詩人だけでなく、映画の脚本家、心理学者、コメディアンも人気な人材として挙げられています。その一方、UXデザイナーは明らかに対応を迫られることになります。

要するに、Chatbotをデザインしようとすると、会話を書くこと自体がUXデザインだということになります。最近ではACOでもChatbotのプロジェクトを実際に進めていますが、言葉でデザインする人材の育成は重い課題です。

CHAPTER 3 – Chatbotの進化の動向を見逃してはいけない

現時点のAIの学習状況を見ていると、Chatbotをマーケティング活用するにはかなりの根気が必要になりそうです。また、Chatbotの開発のコストは、新しい人材を必要とする以上、今のような初期段階では決して安いわけではありません。

けれどポジティブな見方をすれば、facebook MessengerやLINEのようなメジャーなプラットフォーム上に自分たちのブランドを参加させれば、たくさんのユーザとつながることができるし、つながった後はユーザ特性に合わせて一人づつに違った内容で話しかけながら、会話の中に自然な流れで動画やWEBサイトを混ぜることができたりと、運営者にとってはとても魅力的なコミュニケーション手段です。

あとは私達のような設計者がユーザにもう少しマトモな経験を提供できさえすれば、Chatbotはキャズムを超えることは確実です。

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