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A.C.O. ジャーナル

時代の変化と共にユーザーとの新しい関係を模索するヴィジュアルアイデンティティ(VI)

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異なる業種の体験から感じたVIの変化

こんにちは、UXデザイナーの岡本です。A.C.O.にジョインする前はVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を得意とするデザイン事務所で働き、その後はコンサルティング会社でビジュアルデザイナーとして働いていました。デザイン事務所では主に紙媒体上でのブランディングの制作を行い、コンサルティング会社では主にアプリなどのデジタルタッチポイントに関連するサービスを提案・制作をしていました。

その経緯から、デジタル上におけるヴィジュアル・アイデンティティ(VI)の体験は紙媒体でのそれとどう違うのか関心を持っていました。以前VIを作っていた時はガイドラインを作成して異なるタッチポイント毎にルールを反映させたり、作成したVIがユーザーの印象に残りやすいか等を考えて制作をしていました。

コミュニケーションの多様化により変化を余儀なくされるVI

かつてのVIは企業の活動をひと目で表すアイコンであり、ユーザーはその情報を受信するだけという一方的な関係でした。ソーシャルメディアの浸透やテクノロジーの変化の影響もあり、ブランドとユーザーのコミュニケーションは一方通行から双方向になり多様化してきました。その結果、VIは場面や用途に応じて形を自由自在に変える必要がでてきました。

イソップ童話では「葦と樫の木」という話があります。力強く立っている樫の木がハリケーンで倒され、柔軟性のある葦が最後まで生き残るという内容です。VIも同じように、柔らかく流動的になることで時代の流れを活かすことができる一方、確固とした強いアイデンティティを固持し続けることで時代の流れに対応できないことになるのではないでしょうか?

この記事では、時代の変化に対応し、姿を変え、有機体のように生きるVIの例をピックアップし、そこから何を学べるかを考察してみたいと思います。

ソーシャル時代の変化に対応したVIの例

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Design Studioによるairbnbロゴ

ユーザーと一緒にブランドを作り上げる

Airbnbは民宿を貸し出す人向けのウェブサイトです。民泊という新しく、そして1人1人が誰でも部屋を貸し出せるサービスはこれまでの観光地での宿泊方法をガラリと変えました。そのサービスを象徴するVIもその新しいコンセプトに合わせてロンドンのデザインスタジオ(Design Studio)によって制作されました。過去に存在していたとあるロゴと似ている事でも話題になりましたが、このプロジェクトではロゴ自体のデザインよりもユーザーとの関係性をどう新たに作るかを試みています。

ここで作られたロゴはBéloと呼ばれ、コミュニティのシンボルとなり、言葉や文化の多様性を反映したものとなっています。過去のAirbnbのキャンペーンサイトでは、ユーザーが自分でロゴの色や装飾を設定し、自由にロゴ制作に関わる事でユーザーがVIの制作に関わり、民泊を提供する一人一人がAirbnbのブランドの一部であるというコンセプトをVIに反映させようと試みています。

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過去のキャンペーンでユーザーによって制作されたVIの例

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Airbnb VI コンセプト動画

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LandorによるMelbourne メルボルン市ロゴ

ユーザーに市の理解を深めてもらう

ランドー(Landor)によるメルボルン市の新しいVIはフレキシブルで多様な都市を反映させるものになっています。メルボルンは国際都市であり、自由で先進的、そして色々な顔をもつ都市です。そのため信頼性が高く、節度ががありながらも、生き生きと視覚的に人々を魅了するVIを作ることが求められました。元々メルボルン市では様々なイベントが行われてきましたが、それぞれのVIが別々のスタイルを持ち、メルボルン市主催のものかどうかわからないといった問題がありました。

ランドーが出した解答では、1つの決まったロゴがあるのではなく、象徴的なMを基礎としながら、VIの内部の色や幾何学模様を変えることでメルボルンの多様性を表しながらも、フレキシブルで成長をする都市を表現しています。これによって作られる異なるバリエーションは市内のサービス、イベント、場所に応じて使い分ける事ができます。VIが多くのバリエーションを持つことで、今まで断片的だったユーザーのメルボルン市に対しての理解が明確になり、住民と外からやってくる人の両者が親密に感じてもらえる手助けをすることができるのではないでしょうか?

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PentagramによるMIT Media Lab ロゴ

創造的でコラボレーションを起こす姿勢を体現

ペンタグラム(Pentagram)によるMITメディアラボのVIは同大学の創造性と、様々なバックグラウンドの人々が刺激を受け合い未来に向けた提案をコラボレーションをする場所としての性格を反映したものになりました。VIを作るシステムを作り、それを柔軟にを可変させることで、自由に生成的に学内の主要な研究室のロゴやポスター、ピクトグラムなどを生成させることができます。

出来たVIはロゴ自体がメインの造形なのではなく、7✕7のグリッドシステムの上で文字や装飾を描くという、フレキシブルなシステムを設定しています。フレキシブルであることで、ピクトグラムや誘導サイン、洋服のデザインにもこのシステムが形を変えて応用されることになります。白黒で幾何学的な無機的な造形であるにも関わらず、制限のなかで自由に展開することで、時間軸が加わったり、メディアが変わってもフレキシブルに対応することができています。紹介動画を見ると無機的な造形であるにも関わらず、コミカルな音楽と相まって、生き生きとロゴが変化している感じが見て取れ、MITのこれからの未来をVIが象徴しているように感じることができます。

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MIT Media Lab VI コンセプト動画

おまけ:GretelによるNetflixの例 身近な要素を使い、ユーザーとの距離を縮める

VIとは少し例が違いますが、興味深いと思ったので列挙したのがグレーテル(Gretel)によるNetflixのプロジェクトです。Netflixのブランドチームと共に、ブランディングの展開を行っています。Stack(積み重ねる)というメタファーをコンセプトに制作されたシステムは、私達が身近に接しているUIの操作を思い起こさせます。異なるレイヤーを積み重ねる事自体がNetflixのブランディングであり、タッチポイントのサイズや動画などの媒体にフレキシブルに対応することができているUI的な要素がブランディングとして成立している興味深い例だと思います。日頃ユーザーが目にしているインターフェースの要素がブランディングに取り入れられることで、愛着を感じることができるのではないでしょうか?

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Netflix コンセプト動画

形を変えるVI、今後のあり方について

これまでに取り上げたようなVIの例では単なる静的なものというよりは、ユーザーが能動的に制作に関わったり、時間によって変化したり、テーマに合わせて形体を変えたり、生き生きと自由自在に形が変化しています。このように、時代や技術の変化とユーザーへの関係性が変化することで結果的にデザインに影響を与えるというのが見てとれたかと思います。

今回のお話はここで終わりですが、今後新しい技術によってインターフェース以外のデバイスが出現することでしょう。そうなったときにVIのビジュアルが 無くなり、アイデンティティだけになったときに、そのあり方はどのように変わるのでしょうか?社会の中でチャットボットやAIのようにビジュアル以外のものの重要性が増し、それぞれにアイデンティティを持つ必要が出てきた時、もしくはビジュアルとそれ以外のものを統一したアイデンティティ作る必要が出てきた場合、VIはさらなる変化をする必要があるのかもしれません。

by A.C.O. Journal Desk

A.C.O. Journal 編集部です。A.C.O.のカルチャーとノウハウを発信していきます。

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