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イベントレポート

Design Matters Tokyoイベントレポート

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こんにちは、A.C.O. Journal編集部です。2022年5月14日・15日に北欧発のデザインカンファレンス「Design Matters Tokyo」が開催されました。東京での開催は2回目となります。

Design Mattersは毎年、デザイン業界におけるトピックを深掘りしています。トークやワークショップの指針となるテーマは、毎年過去にDesign Mattersに登壇したスピーカーを集め、その年のテーマを決定しています。今年のテーマは、「失敗を受け入れる」「リモートコラボレーションをデザインする」「北欧のデザインアプローチ」の3つ。それぞれのテーマに沿ったプレゼン・ワークショップも特徴的でした。

今回は、カンファレンスに参加したA.C.O.メンバーのイベントレポートを対談形式でお届けします! Design Mattersの創設者インタビューともあわせてお楽しみください。

登場人物

小林 拓也

法政大学キャリアデザイン学部卒業。UIデザイナーとしてキャリアをスタートし、ブランド開発や体験設計フェーズまで携わる。現在は、Monstarlabグループ海外拠点のプロジェクトへの参加など国内外の案件を推進。好きなことは、レコード収集、キャンプ、NBA、シーシャなど。

Nondo Sikazwe (ノンド シカズウェ)

ザンビア出身。 南アフリカのウィッツ大学で建築を学び、隈研吾建築事務所でのインターンを通じて来日。千葉大学、スタンフォード大学でUXデザインを学んだ後、A.C.O.に入社。さまざまな海外プロジェクトに取り組んでいる。

Minsoo Chung (テイ ミンスウ)

京都芸術大学情報デザイン学科卒業。UIデザイン、グラフィック、Webなど、幅広い視覚表現を通して、人と人を繋ぐデザインに情熱を注ぐ。多様な文化や価値観が交わるからこそ生まれる新しい価値に興味を持っている。観葉植物と料理が好き。

川北 奈津

静岡大学情報学部卒。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現研究科修士課程修了。メディアアート作品制作・国内外での展示活動、広告制作会社勤務を経て、2008年A.C.O.にプランナーとして入社。アプリやサービスの情報設計を多く手掛ける。2017年1月、UXデザインと情報設計を強化するための専門チーム、UX/IA部を立ち上げ。サービスの開発やブランド開発プロジェクトのUXデザインのリードを担当。2021年7月より、執行役員。

面白かったプレゼン・ワークショップは?

DesignMatters

小林: Design Matters Tokyo、とても楽しかったですね!対談形式でイベントを振り返りつつ、みなさんの感想を聞いていきたいと思います。早速ですが、どのプレゼン・ワークショップが面白かったですか?

Ivy Li and Lars Rosengren(ustwo Tokyo Principal Coach and Senior Product Designer)「プロダクトにおける発見—失敗への戦略的な学習アプローチ」

失敗に前向きな考え方を導入するために、戦略的な学習形態として、失敗を別の方法で組み立てることから始めることができます。 UstwoのProduct Discoveryは、日本の組織で協力している製品チームの一部として「戦略的学習」を統合する1つのアプローチです。このワークショップでは、プロジェクトの初期段階で適切な質問をするための基本事項を体験​​し、その考え方を学び、必要不可欠なものをお教えします。今後は開発したものがうまく機能するだけでなく、開発する事自体が正しいことを確認できるようになるでしょう。

Design Matters’22 Tokyo

川北: ustwo TokyoのIvyさんの「プロダクトにおける発見—失敗への戦略的な学習アプローチ」のワークショップが面白かったです!クライアントからサービスの制作を依頼されて、30分で要件定義を実施するワークからはじまるのですが、序盤はどのチームも白紙で、みんなうまくいっていませんでした。ですが、2回目のワークではユーザーニーズや課題という観点から考えはじめ、参加者の視野が広がり考え方が変わっていったように思います。実際に失敗を体験することで、プロジェクトをスタートさせるポイントが大事であるということにより共感しました。私個人としても大きな発見があったワークショップでした。ミンスーも一緒に参加していたけど、どうでしたか?

ワークショップ

Minsoo: 奈津さんが言っていた通り、前半はめちゃくちゃ失敗しました。要件定義からはじまって、条件の中からどんなところに絞ってアプリを開発できるのかということを話して、最後にユーザーフィードバックが入るというのが全体の流れです。最後は実際に使ってもらうユーザー側からのフィードバックとなり、実施した要件定義があっているのかという振り返りまで行います。ですが、要件定義とユーザーフィードバックが全く違ったんです。背景を伝えずテーマだけ見て要件定義をして、後から条件を伝えるというプロセスにあえてなっていたので、アプリのターゲットユーザーが最後に結果として出てくるのです。失敗というテーマがあったので、あえてそういうプロセスにしていたのだと思いますが、どんな問題点があったのかをチーム内で話し合い、「何が失敗だったのか」という観点で、失敗を言語化する練習までできたので個人的にもすごくいいワークショップでした!

Thomas Holst Sørensen(LEGO Global Head of Design)「遊び心のある北欧のデザインアプローチ」

このトークでは、レゴエージェンシーの彼のチームが細部に細心の注意を払い、大人向けのレゴシリーズのキャンペーンのビジュアルアイデンティティ、デザイン、コンセプトを遊び心を持って取り組んだ事例について説明します。

Design Matters’22 Tokyo

小林: Nondoはどうでしたか?

Nondo: LEGOのThomasさんのプレゼン「遊び心のある北欧のデザインアプローチ」が面白かったです。新製品のブランディングに関する内容だったのですが、大人をターゲットにしながらも、「遊び心」をいう考えを中心に置き大人のライフスタイルに合ったものにする挑戦について話が聞けました。会社のトップの反対を押し切って、大人向けの新製品の開発にチャレンジしたそうです。LEGOがブランドとのコラボレーションによって、大人のための強いブランドイメージをどのように作り上げているのか、大人のストレスを和らげるためにおもちゃで遊ぶという体験をどのようにデザインしているのかという観点で話を聞けたので、LEGOにもさらに興味が湧きました。

私自身、大学院に通っていた頃、R&Dデザイン研究室に所属し、パッケージのUXデザインを担当していました。実際にパッケージにまつわるプロダクトデザインの経験があったので、LEGOチームから直接、大人向けのプロダクトデザインの難しさについて話を聞けたのは刺激的でした。

スピーカーのThomasさんとも直接話せたのも嬉しかったです。A.C.O.でARに関するリサーチや勉強会をしたのですが、LEGOのARパッケージについてのノウハウを直接聞くこともできたので勉強になりました!

川北: Thomasさんはプレゼンのスライドもすごくかっこよかったですよね!スライドもスピーカーごとに個性があって、かっこいいデザインのスライドを見れるという点もデザインカンファレンスの魅力だと思いました。

Legoのプレゼンテーション

小林: まさにそうですね。Thomasさんのスライドは欧文タイポグラフィがかっこいいスライドでしたね!わかりやすさとかっこよさをスライドから感じられる点は魅力ですし、勉強にもなりますね。

Veronica D’Souza(Index Award ​​Jury Member)「オープニングトーク」

Veronicaは今回のホストとして、初日はオープニングトークを行い、2日目も朝から皆さんのお出迎えをします。2日間、皆さんがしっかりとインサイトやインスピレーション、そして何よりも楽しめるように盛り上げてくれます!

Design Matters’22 Tokyo

小林: では、ミンスーが一番面白かったプレゼンも教えてください。

Minsoo: オープニングトークを担当したVeronicaさんのプレゼンが印象的でした。今回のカンファレンスのテーマのひとつが「失敗を受け入れる」ということだったのですが、彼女の失敗のとらえ方は「社会的に失敗だと認識された人」「除外された人」に目を向けていると感じました。

Veronicaさんはソーシャルビジネスのアントレプレナーで、社会課題×デザインの領域で活躍しています。ケニアでの女性の社会復帰や「生理用品が高価で購入できない、買うのが恥ずかしい」という課題に対して、リサーチから入り、パッケージ化し、使うことに抵抗をなくしていくような活動をしていて、社会課題とデザインを組み合わせたプロダクトとしてもとても魅力的でした。ファッションブランドビジネスの立ち上げのお話も彼女の活動の軸が通っており、女性としても、デザイナーとしても、自分が将来こうなりたいと思えるような、とても感動したスピーカーでした。

小林: 会場の人と話しても、Veronicaさんのプレゼンがよかったと言っていた人がとても多かった印象です。

Veronica プレゼンテーション

川北: オープニングトークとしてかなりインパクトがありましたね。全身を使ったプレゼンがとてもかっこよかったです。

小林: 実際にビジネスとしてスケールアップしていることもすごいですよね。最終的にプロダクトが世界中に広まり、ビジネスとして世界中に広がっていったのだと思います。

Minsoo: 社会課題だけを込めて問題提起するというだけではなく、プロダクトとしても人が欲しいものをつくるという考え方もとてもよかったです!

Rasmus Sanko(Charlie Tango Chief Strategy Officer)「デジタル・エシックス・コンパス」

私たちの生活を豊かにするデジタルテクノロジーの世界的な普及につれ、プロダクトやサービスの透明性やプライバシーの保護に対してユーザーからの需要が高まっています。デジタルの倫理性はもはやただ正しいことを為そうという話だけではなく、ビジネスにおいても重要性を増しています。Rasmusは、デンマークデザインセンターと協力して開発された新しいツールを紹介します。これは、企業がデジタル倫理を扱うためのボキャブラリーとフレームワークを実現および維持するのに役立ちます。

Design Matters’22 Tokyo

小林: 僕はCharlie TangoのRasmusさんがお話しされた、「デジタル・エシックス・コンパス」についてのプレゼンテーションが印象的でした。

「北欧のデザインアプローチ」がテーマだったのですが、デザイナーの道徳性、倫理性という観点で非常に共感した内容でした。デンマークの国が擁するデザイン機関と一緒に、国内でも力のある大企業を数社集めて、「自分たちのプロダクトにおける倫理観は何か」について話し合う時間を定期的に設けていることがとても印象的でした。

Charlie Tangoがデジタル・エシックス・コンパスを使って、実際にプロダクトが倫理観を持って提供されているかを見直しているというのも特徴的でした。僕たちがデジタルプロダクト制作のプロジェクトに入るとき、大抵のプロジェクトはプロジェクトの要件定義から入っていくと思うのですが、Charlie Tangoはコンパスを使ったワークショップを2回やるそうです。まずはプロジェクトの内容をコンパスにのせ、プロダクトが倫理観に則っているのかという観点でプロジェクトメンバーの目線を合わせてから、プロダクト作りに入るというアプローチは素晴らしいと感じました。

Rasmus プレゼンテーション

デザイナーが制作したデジタルプロダクトの社会的な影響範囲は今後もどんどん大きくなると思います。製作者であるデザイナーだけではなく、企業も倫理観を持たないとプロダクトが悪い方向に使われていき、世の中もその方向に引っ張られてしまうようなこともあるかもしれません。プロジェクト開始時に倫理観を持って、どうプロダクトを作っていくかを考えることが重要だと改めて気づいたプレゼンでした。

この考え方があると、プロダクトが社会の中でどんな影響力を持って作られているのかがわかるので、利益重視で考えられるようなアイデアは出てこないと改めて思いましたね。

Shiho Yokoyama(Nesto Chief Experience Officer)「リモート時代におけるウェルビーイングのデザイン」

各個人それぞれが、自分にとっての「幸せ」や「健康」について向き合わざるを得なかったこの2年間。自分にとってのウェルビーイング(心地よく、健康で、そしてハッピーな状態)の在り方が、COVID-19前後で変化したという方も多いのではないでしょうか。Nestoではこのリモート時代に、日本発の小さなスタートアップとして、人々の習慣に着目したサービスをデザインしてきました。体験や組織、コミュニティをつくりながら考え、探索してきた、ウェルビーイングの形についてお話しします。

Design Matters’22 Tokyo

川北: Nestoの横山詩歩さんのプレゼン「リモート時代におけるウェルビーイングのデザイン」も印象的でした。今回のテーマの中だと、「リモートコラボレーションをデザインする」にあたりますね。自分自身、仕事に集中していると息抜きの時間を大事にしていないかもしれない、と思うことがあります。話を聞きながら、「自分にとっての幸福ってなんだろう」、「自分にとってのウェルビーイングって何か?」を考えました。

人々の習慣に着目したサービスのデザインについてのお話では、サービスとしても、ユーザーに習慣化させる、どのようにアクションさせるかという観点でウェルビーイングのサービスを展開している点が面白いポイントだなと。私自身、メタバースやVRのサービスを考えていたとき、ずっと繋がっていることの意味や自分にとっての居心地の良さについて考えるようになりました。デジタルネイティブ世代は何も話さなくても繋がっていることが普通になっているので、「読書している空間をVRの中に作る」というような、そういったサービスづくりのヒントにもなりそうだなと思いました。

Minsoo: 確かに。YouTubeでも、勉強や読書を一緒にするための動画があったり、繋がっていることに安心感を覚える人が増えているように思います。

川北: 誰かと一緒にいることで自分がいる意義があるというような、そういった観点でVRとウェルビーイングとの相性はいいとプレゼンを聞いて思いました。

小林: こういったテーマをカンファレンスの中でちゃんと取り上げてくれるのはとてもいいことだと思います。ウェルビーイング系サービスと働きすぎな日本人は親和性があるはずなのに、意外とそういったサービスは少ない気がします。もしかしたら、社会的に恥ずかしい、スティグマ的な考えがあるのかも。個人としてかなり重要な話だと感じました。

Bianca Berning and Reiko Hirai(Dalton Maag Creative Director / Type Designer)「人間の目の限界を受け入れ、アクセシビリティを促進する」

BiancaとReikoのトークではデザイナーが人間の目と脳の限界を受け入れる方法について深堀りします。目と脳の限界を受け入れることにより、テキストコミュニケーションをより多くの人にとってアクセシブルにするだけではなく、人同士のインタラクションにも影響を与えることができます。

Design Matters’22 Tokyo

Bianca プレゼンテーション

Minsoo: タイポグラフィのアクセシビリティについての内容だったのですが、脳で情報処理をどうするのか、という話からタイポグラフィに繋がっていきます。いきなり脳の図が出てきたので、インパクトがすごかったです。

視覚障害についてもあまり知らなかったので、視覚障害における日常生活の弊害を可視化してくれた点もわかりやすかったです。文字間を少し変えるだけでもアクセシビリティがよくなったり、読む相手が誰かによってタイポグラフィを考えていたり、使われるシーンをちゃんと考えた上で工夫されていることはすごいと思いました。

Nondo: 改めて、タイポグラフィってすごく奥が深いものなんだなと思いました。

小林: 脳が処理をする負荷をどれだけ下げられるかという観点で考えられていましたよね。アルファベットの文字の組み合わせによって認識する速度が違ったり、アルファベットの形まで考えてタイポグラフィのアプローチをしている点には驚きました。そしてこれを考えて作っている人と考えずに作っている人の差はものすごいと思いました…。

Minsoo: 普段無意識にやっていたことをビジュアライズしていたので、こういった処理があるんだという気づきがありました。

川北: グラフィックデザインだけではなく、デジタル上でタイポグラフィを意識しながらデザインすることに自分たちはどこまでチャレンジできるかということも考えていきたいですね。

Minsoo: デジタルプロダクトにおけるタイポグラフィの定義があるとまた良いかもしれません!

久しぶりにオフラインイベントに参加してみてどうだった?

DesignMatters

小林: 全員、オフラインイベントに参加するのはかなり久しぶりだったんじゃないでしょうか?どうでしたか?Design Mattersの良さや特徴と合わせて教えてください。

Minsoo: 実は初対面の人との会話をするような、このタイプのイベントは少し苦手でした。ですが、オフラインのDesign Mattersのようなイベントに参加することによって、知らない領域の情報を得られるようになったり、他のデザイナーがどんな仕事をしているのか、生活しているのかを対面で知れたので、とても貴重な経験でした。日本人だけではなく、さまざまな国からデザイナーが集まったカンファレンスだったので、この時期だったということもあってより感動しましたし、世界とのつながりも感じられました。スピーカーとの距離が近く、コミュニケーションが取りやすい点は大きな魅力だったと思います。

Nondo: プレゼンテーションはどれもわかりやすいものばかりでとても面白かったです。いろいろな人とコミュニケーションを取れて、ネットワークを広げられたのが一番のポイントだったと思います。以前別のカンファレンスに行ったときは、見たいプレゼンを見て、知っている人としか話さず、堅い印象を持っていたので。オフラインのイベントということで、たくさんのデザイナーのエネルギーを感じられました!

川北: プレゼンを聞くだけのイベントに参加する感じではなくて、コミュニティに参加している感じでした。人とのつながりを強く感じられたと思います。オフラインでのワークショップに久しぶりに参加したのですが、対面で得られる情報はオンラインよりも多いと改めて感じましたね。

小林: みなさんも触れてくれていますが、やっぱり一番の魅力はスピーカーの人ともコミュニケーションが取れる点ですね。プレゼンの後にスピーカーの方から直接話を聞ける点はとても魅力だと感じました。

Minsoo: あとはトークセッションとワークショップが一緒に体験できる点も大きな魅力ですよね。それぞれで得られる情報も違って良かったです。ワークショップを通じて参加者との距離を縮められたので、より楽しめました!

川北: ワークショップでは一緒に作業しながら同じ目線で考えを共有できるので、すぐに仲良くなれますよね。仲良くなるにはいいプロセスだと思いました!

小林: みなさん、ありがとうございました!

ポスター

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