A.C.O.のデザインナレッジカルチャーを伝えるオウンドメディア

(株)A.C.O.は2023年1月より(株)モンスターラボに事業承継されました。

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Staff Stories

体験はつくれない。人間を探求するデザイナーの考える、「心配り」としてのデザイン

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「Staff Stories」では、A.C.O.のスタッフを紹介しています。今回登場するのは、名古屋からフルリモートで業務にあたるモンスターラボ デザイングループの森山和則。外食チェーン店からデザイナーとしてのキャリアをスタートさせ、転職を機にWebディレクターを経て、現在はUXデザインを手掛けています。「細やかな心配り」を大事にしているという森山のキャリアとデザインへの向き合い方を聞きました。

Guest

Kazunori MORIYAMA

森山和則・外食チェーン本部で販促ツールの企画制作に携わった後WEB業界へ転身し、WEBディレクターとしてWEBサイト開発プロジェクトに多数携わる。その後デジタルサイネージなどを使った体験型展示システムのプロデューサーを務め、2021年にモンスターラボに入社。HCD-NET認定 人間中心設計専門家。

誰に、何を、どう伝えるのか。コミュニケーションデザインの経験が引き寄せた、「人間中心設計」との出会い

最初に就職したのは、とある外食チェーン店です。あらゆる販促物のデザインを手がけ、自分がつくったポップによって商品が飛ぶように売れたこともありましたが、自分の専門性をWebに絞りたいと考えるようになりました。もともとアメリカのWeb専門学校で勉強して、「この先人々はインターネットで生きていくのだろう」と感じていたし、離れた場所の人ともコミュニケーションがとれる手軽な表現手段として、自分のつくったものが広がる可能性に魅力を感じていました。そうして印刷会社のWeb制作部門に転職し、Webディレクターとして長く務めることになります。

それでも10年経つと、スマートフォンの登場によって人々の行動も多様化し、「オンラインだけにやりたいことを見出すのはもったいない」と感じるようになっていました。オンラインで培った知見はオフラインでも役立つし、もっと大きな可能性をつかめるはず。そうして2017年、機械音声エンジンなどを手がける会社内で、展示施設向けのクリエイティブ制作を行うチームへと2度目の転職をします。

その会社で勧められて受験したのが「人間中心設計専門家 認定制度」です。この制度は少し変わっていて、自分のこれまでの業務実績を記載して、その内容で合否を判断されるというもの。「人間中心設計を業務の中で実践できているか」という視点で見られるわけです。

人間中心設計という考えに触れて感じたのは、「自分がやってきたことと似ている」「自分がやってきたことが体系化されている」ということ。もともと販促物のデザインからキャリアをスタートし、コミュニケーションデザインの「誰に、何を、どう伝えるのか」という考え方に馴染んでいたため、それに近いものを感じたのかもしれません。同時に、より個々の領域に深みを求められる人間中心設計は、 まだまだ追求していく必要があることも痛感しました。それは、今もまだ道の途中です。

そもそも、若い頃は知識とスキルを身につけることへの意識ばかりが強く、エンドユーザーの立場に立つことにまで頭が回っていなかったかもしれません。よく上司や先輩に注意されたのは、「Webについての話はできるけど、コミュニケーションの話はできない」ということ。自分のことになるとよくしゃべるのに、「これは誰に向けてつくっているの?」「何のためにつくっているの?」という問いには、何も返せませんでした。

そのままの自分だったら、「Webのことがわかる人」で終わっていたかもしれません。自分の課題に気づき、変わっていなければ、今ここにはいないはず。「誰に」「何のために」を考えられるようになってからは、もうそれなしではどうつくっていいのかわからないぐらいです。

人間を深く知り、その行動様式を探求していきたい

これまでに携わってきたプロジェクトでは、ホロレンズを使ったものなどもあります。先端デバイスは日々進んでいる領域。スマートウォッチを筆頭にどんどん人体にフィットしてきており、今後脳の仕組みと人間の行動とは必ずリンクしてくるはずだと考えています。

プロジェクトをきっかけに、脳科学にも興味を持ちはじめました。あくまで個人的な考えですが、やっぱり人間中心設計をやるなら、もう少し人間について詳しくなってもいいんじゃないかと思うんです。人間のモチベーションはなぜ上がるのか、どんなときにクリエイティビティが高まるのか、身体のどこが感情をつかさどっているのか。そういったことをインプットし、咀嚼し、アウトプットする訓練を重ねることで、その一連のプロセスを人間中心設計に役立てていきたいと考えています。

実際に先端デバイスの開発では、「人体がデバイスに耐えられるか」という点に人間中心設計を活かすことができます。例えば、現状のホロレンズは頭痛がしてしまい20分もつけていられません。今まで人間は至近距離で画面やグラフィックを見続ける状況を経験してこなかったので、人体がその状況に耐えられずに「ホログラム酔い」になってしまうんです。

でもそういった障壁があるからこそ、乗り越えるモチベーションを人間の力で仕掛けられないものかと考えたくなるんです。モチベーションを上げる演出ができれば、その障壁を超えられるのではないだろうか、と。すでに脳でインターフェースをコントロールする仕組みは開発されており、実用化されれば人体への負担に耐えうるデバイスになっていくはずです。

新しいデバイスが出てくると、必ずそれに合わせて人間の行動は変わります。その変化の仕掛けをつくり、人間の新しい行動様式を探求していくことが今後の目標です。これまでの体験がガラッと変わってしまうような、未知の世界に足を踏み入れるようなことを、今後はやっていきたいですね。

喜んでもらうための「細やかな心配り」を、仕事にするということ

モンスターラボには2021年に入社し、UXデザイナーとしてXR関連や新規事業関連のプロジェクトを中心に参加しています。ただし、UXに関して「体験はつくれる、デザインできる」とは考えておらず、むしろそれは傲慢な考えだと思っています。人様の体験を他人がコントロールすることはできないし、そもそも人が人を変えることはできません。

では、結局僕たちがやっていることは何なのか。

それはあくまで、実際にものを使うエンドユーザーの方々がより良い体験をするために、努力をさせていただくこと。より良いUXのために、体験のきっかけや体験づくりについて考えることのお手伝い。そう捉えています。

そのため、僕は極力「UXデザイナー」とは名乗らずに、「Designer for UX」という言葉を使うようにしています。

肩書なんて、細かいことだと思うかもしれません。でも人間は機械とはちがって不合理で、「めんどくさい」という感情を持つ生き物です。今日計画通りやっておけば明日スムーズに物事が運ぶのに、めんどうだからって明日に持ち越して飲みに行ってしまったりする。その不合理な行動は、大きな動機からではなく、「ちょうど飲みの誘いの電話が来たから」ぐらいの些細なことから生まれたりするものです。だからこそ、Design for UXにとっても「細やかな心配り」が大切だと考えています。

そもそも体験は、放っておいてもどのみち誰かが考えるもの、自然発生的に生まれるものだと思います。例えば戦後の高度経済成長期は、まだ世の中の暮らしが一定水準にまで達していなかったので、どんどん働いて豊かなものを買えるようになることを求めた時代でした。でもその後一億総中流社会になって満たされてしまうと、モノ自体が価値を持った時代から、体験にフォーカスがあたる時代へと変わりました。

そうやって状況に合わせて人間は変化するため、UXという考え方がなくなったとしてもきっと自然に生まれてくるだろうし、そもそも人間が生きている限りどこにでも備わっているものだと思います。挨拶やプレゼンテーション、ライブのセットリストやCDアルバムの曲順もそう。受け取り手がいる限りなくならない概念であり、概念として扱われる前から存在しているものだと思っています。

突き詰めると「相手に対するお作法」なのかもしれません。だから、人が人に対して「喜んでほしい」と思う気持ちがある限り、なくならないはず。Design for UXとは、家族や恋人にご飯をつくってあげるときのように、「何をしたら相手は喜ぶだろうか」と考えることを仕事にしているだけのことではないでしょうか。

人間誰もがやることだからこそ、それを仕事にするには「頼む価値がある」と思ってもらう必要があります。帝国ホテルがおもてなしの専門性によって100年以上愛されているのと同じように、僕はエンドユーザーに良い体験を提供するためのノウハウやスキル、専門性を常に磨き続けていかなければいけません。わざわざ仕事として頼んでいただくからには、誰にでもできるわけではない、対価を払うに値する価値を感じて頂かなければいけませんから。

デザインを続けているのは、ほんの少しの「使命感」から

個人的には、「よくぞここまで同じ系統の仕事が続いたな」と思っています。 Web制作の仕事はやはり肉体的にも精神的にもハードな部分があり、当時一緒にやっていたメンバーはみんな離れていってしまいました。今でもクリエイティブ職を続けているのは僕だけです。

だから、少しだけ「使命感」を感じているんです。「デザインをライフワークにしよう」なんて思っていませんでしたが、「あの頃の上司がまだ現役で働いている」と知ったら、みんなも安心してくれるんじゃないかなと。この記事が出ることで、そうなればいいなと思います。結局はご縁とタイミング。自分自身を保ちながら地道にやっていけば、どんな経験にも意味があるはずです。

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