A.C.O.のカルチャーとノウハウを伝えるオウンドメディア

気に入ったらいいね!してね

A.C.O.のカルチャーとノウハウを伝えるオウンドメディア

【特集:マテリアル】人は右脳で興味をもち、左脳でファンになる?PR視点で考える、コミュニケーション戦略とUXデザインのあり方とは

VOICE

【特集:マテリアル】人は右脳で興味をもち、左脳でファンになる?PR視点で考える、コミュニケーション戦略とUXデザインのあり方とは
YASUDA

YASUDA

YASUDA

YASUDA

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

コミュニケーションのプロ マテリアルが考えるコミュニケーション戦略の今後やPRエージェンシーにとってのUXデザインについて伺いました

近年、コンサルティングファームがエージェンシーを買収する動きが目立ちつつある。同時に、クライアントサイドもエージェンシーを挟まず個別に専門領域を持つ企業へ発注するなど、業界の構造は大きく変わってきている。この業界変化から、PRをベースとしたコミュニケーション戦略などをマテリアルグループ株式会社代表取締役の東義和氏は『PR GENIC』という著書の中で詳細に語っている。

A.C.O.はコミュニケーション戦略やUXデザインに携わる経験から、書籍を元に、コミュニケーション戦略の今後やPRエージェンシーにとってのUXデザインについて、東氏と、同社グループでプロダクト・サービスを展開する事業会社・株式会社TWOの鈴木匡嘉氏に話を伺った。

  • 東義和(あずま・よしかず)

    東義和(あずま・よしかず)

    マテリアルグループ株式会社 代表取締役。出版社勤務時代に出版物の総合的なプロモーションを担当し、数々のベストセラー仕掛ける。2005年PRを軸としたマーケティングコミュニケーションカンパニー株式会社マテリアルを設立。2014年にエンタープライズデザインを行う株式会社TWOを創業、睡眠・ライフスタイル事業に着手。同年に、PRをプラットフォームに世の中の優れた素材や技術を抽出し、グループシナジーにより事業化するサイクルを加速すべく、ホールディングス機能であるマテリアルグループ株式会社を設立、グループ経営を始動。

  • 東義和(あずま・よしかず)

    鈴木匡嘉(すずき・まさよし)

    株式会社TWO プロダクトマネージャー。University of Washington卒業後、2004年ソニー株式会社入社。信号処理系研究所、ソフトウェア設計部でソフトウェア研究員・エンジニアに従事したのち、2011年に海外マーケティング部に異動。民生向けテレビの全世界向けマーケティング販売に従事し、4Kテレビの立ち上げを成功に導く。2015年6月、世界の睡眠をよくするため、株式会社TWOへ参画。プロダクトマネージャーとして、自社ブランドSleepdaysやBARTHの立ち上げを手がける。

CHAPTER #1

変化するPR、エージェンシーの役割

はじめに東氏が著書の中でも言及しているPR業界やエージェンシーといった業界構造の変化について伺った。

東「マーケティングとひとことで言いますが、広告代理店の領域やPRエージェンシーの領域、デジタルマーケティングの領域は、業界にいる人たちが線引きをしたものにすぎません。クライアントサイドからすれば何の関係のない話です。ニーズが多角化し、業界的にも複雑になったことで、その線引きが無意味になってきている。ある種、より本質的な状態にここ数年近づいてきているのです。」

一般的にPRとは企業の存在や事業、商品の存在や、性能を正しく伝えることだ。ただ同じ伝え方では多様化するステークホルダーに適切に伝わらないため、それぞれに合わせたコミュニケーションを作り、適切に伝えていく。それがPRエージェンシーの役割だった。東氏は業界の変化と共にその役割も変わってきているという。

東「デジタルメディアにおいては、近年広告目線よりもPR目線での企画の方がより重宝されるようになってきました。PRではアイデアを考え、メディアバイイングまでのメッセージを整理します。PRはコミュニケーションのプロとして適切なメッセージの設定と、そのコミュニケーションをまとめることを得意とします。本来はこういった川上の部分をPRエージェンシーが作ることは日本ではあまりありませんでした。しかし欧米では一般的になっており、PRに求められる役割の変化は近年強く感じています。」

CHAPTER #2

UXデザインはストーリーである

マテリアル 東氏
マテリアル 東氏

マテリアル、ひいてはPRエージェンシーが領域を拡大する背景には適切なメッセージの設定、コミュニケーションの設計がある。このコミュニケーション設計はA.C.O.をはじめとした制作会社におけるUXデザインと非常に近いものだ。マテリアルにとってのUXデザインはどのようなものか。東氏は、「UXはストーリーである」と語る。

東「マテリアルにとっての『UX』は『ストーリー』です。ストーリーは世の中を巻き込むものでなければいけません。我々PR会社は企画を考えるうえで最重要視する事は世の中を巻き込む事です。それは広告のように枠が保証されている訳ではない活動の中でパブリシティを獲得していくには世の中を巻き込む必要があるからです。

なのでストーリーテリングは我々のやってきたバックボーン、スキルに非常に親和性が高いのです。Webの場合、こういう行動した後に、人はこういう気持ちになり、こう行動するといったUXデザインを行いますよね。ストーリーとはAISASの消費行動の流れの中に感情要素を強く注入していきます。感情の意思決定がなければ一度購買する事は促せても、リピートをする事はありません。つまりファンにはならないのです。」

ただし、WebにおけるUXデザインとストーリーには大きな違いが存在する。それは合理的判断や数値的根拠に基づくものではなく、非常に感覚的、感情的であるという点だ。

東「繰り返しますが、ストーリーは感情の動きにかなり重きを置きます。これは人間は脳の機能として感情を起点に行動を起こすからです。人間は善し悪しの判断を、動物だった頃から持つ大脳辺縁系という中心に近い部分ではじめに行います。これは本能に近い部分で、感覚的=右脳的な判断です。その上に大脳新皮質という合理的判断をする脳があるのですが、これはあくまで大脳辺緑系の判断の合理性を左脳的に精査するもの。決定権は本能にあります。ストーリーはその本能に訴えかけるものです。」

一般的なUXデザインプロセスの場合、調査から仮説・検証を繰り返す。一方東氏の考えるPRの場合、ストーリーがまず先に立ち、そこから裏付けのロジックを積み上げる上で調査などを行うという。

東「右脳でもおもしろいと思い、左脳でも納得した瞬間、人は問答無用でいいものと判断しファンになる。入り口は右脳で、左脳でファンになる。その両方の材料が必要なのです。一般的な商品開発プロセスで行われるマーケティング調査は、あくまで左脳で判断されるものです。我々も商品を作るときに裏付け的に調査は行いますが、そこから答えを導いても、出てくるのは合理的なものでしかありません。一番重要なのは、右脳的に考えるストーリーなのです。」

CHAPTER #3

ストーリーの裏にはロジックが必要

つづけて、マテリアルグループのグループ会社である株式会社TWOで開発・販売する入浴剤『BARTH(バース)』での事例を元に、実際のプロセスを伺っていく。

東「BARTHでは入浴の価値を変えるストーリーが必要でした。入浴剤の市場は決して大きくありませんし、完全にレッドオーシャンです。そこでシェアを数パーセントとれてもたかが知れている。そこで我々は入浴することが美容に繋がるというストーリーを考え、新しい市場(ブルーオーシャン)を作ることにしました。」

化粧品のマーケットは入浴剤に比べれば圧倒的に大きいという。さらに化粧品には数千円出す人はいても、入浴剤へ数千円出す人はかなり限られる。ゆえに、高価格の入浴剤を美容効果があるというストーリーで販売する方向でコミュニケーションを組み立てていったという。BARTHが提唱する美容効果は左脳的判断でも問題が無いよう裏付けが行われた。中性重炭酸泉を用いた「重炭酸バルネオトリートメント温浴法」によって美容面の効果もあるというロジックも積み上げていた。東氏はあくまでストーリーの差別化が重要なポイントになると語る。

東「結局ストーリーの時点で、ほかと違うことをやるというのが前提になります。おもしろいものであること、そして二番煎じを作ろうといったストーリーでないことが重要です。このストーリーを実現できるコミュニケーションさえできていれば、結果は自然と付いてくるはずです。」

中性重炭酸入浴剤 BARTH(バース)
マテリアルの手がけたプロダクト 中性重炭酸入浴剤 BARTH(バース)
CHAPTER #4

純度の高いコミュニケーションこそがH2Hでの強さを生む

マテリアル 鈴木氏
マテリアル 鈴木氏

実際BARTHの開発から流通までを担当する株式会社TWOの鈴木匡嘉氏はTWOの開発プロセスにおいて、ストーリーの純度は大きな影響を及ぼしたと語る。なかでも二番煎じではないストーリーが重要だという。

鈴木「コミュニケーションの純度や強さは、負い目があるかないかで、非常に変わります。わかりやすく言えば言葉として弱くなる。広告でもPRでもあらゆるもので同様です。」

BARTHのようなプロダクトの場合、商品を選ぶバイヤーや、メディア、小売店などさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションが必要となる。それぞれで受け取り方や利害関係は異なるが、結局そこでのコミュニケーションは1対1の人同士によるものだ。

鈴木「結局のところ人と人でのコミュニケーションで全てが決まります。2番煎じの物を作っていると思ったとき、バイヤーや消費者へ『これはいい物だ!』と自信をもって語れません。それでは弱くなってしまう。純度の高いストーリーがあるか否かは、商品開発での話だけでなく、実際コミュニケーションを取る人同士のレベルまで影響を与えます。」

鈴木氏自身、商品の開発過程から、流通まで一通り見ていく中で良いストーリーに裏付けされていないプロダクトでは決してここまでできなかったという。

鈴木「マンツーマンの状況をイメージして勝てないものは、いくらお金をつぎ込んでも絶対に勝てません。すべて人と人のコミュニケーションの積み重ねです。ストーリーのないものは、細分化された先で決して勝てないのです。」

A.C.O. Journalでは以前、クリエイティブディレクターのJamesが『H2H』のコミュニケーションの必要性を紹介した。

これまでのイメージでは、企業はつねに合理的で論理的なものだと思い込みがちです。しかし企業とは、あなたや私のような感情的な人間が集まって成り立っています。そしてプライベートな買い物ほどではないにしても、B2Bでの購買動機は情緒的コミュニケーションに強く影響を受けているといえます。 
日本のB2B企業には情緒的コミュニケーションが足りない

東氏の語る「ストーリー」はこの「情緒的コミュニケーション」と非常に近いのではないだろうか。Jamesが語ったのはあくまでB2BコミュニケーションにもH2Hが必要だという話だったが、東氏の話を解釈するのであれば、情緒的コミュニケーションはあらゆるシーンで必要となってきているといえる。ストーリーに基づいたPR戦略、H2Hにもとづいたコミュニケーションデザインはエージェンシーを取り巻く環境が変化する今後、より必要性が増していくだろう。

  • PR GENIC ―資産価値を高めるPRとは

    PR GENIC ―資産価値を高めるPRとは

    朝日新聞出版 (2017/8/21)

    東 義和(著)

  • マテリアルグループ株式会社

    Materialgroup Inc./マテリアルグループ株式会社

    マテリアルグループは純粋持株会社として、株式会社マテリアル(コミュニケーション事業)・株式会社TWO(エンタープライズデザイン事業)・株式会社マテリアルパートナーズ(人材ソリューション事業)を傘下に持ち、グループ全体にかかわる経営戦略の検討・立案・推進、内部管理体制の整備・強化、グループシナジーの創出などの経営支援を行っています。

    http://materialgroup.jp/

このエントリーをはてなブックマークに追加 follow us in feedly

WRITER

yasuda

安田 翼

TSUBASA YASUDA
MANAGER / PRODUCER / WEB ANALYST

A.C.O. Journalの初代編集長。電気通信大学人間コミュニケーション学科卒業。制作会社勤務、フリーランスを経て、現在に至る。企画、プロジェクトマネジメント、アクセス解析担当。グロース・マネジメント部マネージャー。2017年10月をもって、編集長を退任。

YASUDA'S POSTS

Planning/Editing:安田 翼(A.C.O. Inc.)

Writing:小山 和之(A.C.O. Inc.)

Photo Shooting:足利 森(simori)

Supporting:杉原 紗矢(Materialgroup Inc.)、関 航(Material)

A.C.O. JOURNAL by A.C.O. Inc.

A.C.O. のカルチャーとノウハウを伝えるオウンドメディア

A.C.O. Journal

気に入ったら
いいねしてね!

Facebook で A.C.O. の最新情報を配信中です!

A.C.O. パートナーカモン!

BACK TO HOME