SBIビジネス・ソリューションズ株式会社
経理ノウハウを凝縮 クラウド型請求書発行システム『請求QUICK』
SBIビジネス・ソリューションズ株式会社(以下、SBIBS社)は、最新のIT技術を活用してバックオフィスから経営課題までを解決する企業。
A.C.O.は、同社が提供するクラウド型請求書発行システム『請求QUICK』のUX/UIデザインを担当。同時に、WEBマーケティングの起点となるサービスサイトと、利用者に機能や活用方法をレクチャーするユーザーサポートサイトも開発しました。
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課題Issue
『請求QUICK』は、請求書の作成・発行から入金消込・仕訳までワンストップで一元管理できる中小企業向けのシステム。
多くの中小企業では経理業務にアナログな作業が根強く残っており、経理担当者が抱える業務負荷を解決するためのサービスとして企画されました。
本サービス開発において重要視されたのが、導入のハードルを下げることと利用者の使いやすさの向上。デジタル化への移行をスムーズにすることと、誰にでも簡単に操作できるUX/UIデザインが求められていました。
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解決策Solution
A.C.O.は経験豊富なUX/UIデザイナーをアサイン。
経理担当者が抱える業務上の課題をリサーチし、経理フローのあるべき姿を精査。ユーザー目線の使いやすさを実現するため、経理フローでユーザーが操作するオブジェクトを整理し、直感的に操作可能なUIデザインを取り入れました。
また、サービスサイトやユーザーサポートサイトの開発では、全体のトンマナ設計を行い、著名なイラストレーターやコピーライターをアサインすることでサービス独自の魅力を訴求しました。 -
結果Result
リリースに先駆けて実施されたユーザーテストでは、使い勝手の良さと親しみやすいビジュアルが高く評価されました。
また、SBIビジネス・ソリューションズ株式会社のプロジェクトオーナー様からは「当社の追求に寄り添い、同じチームのメンバーとして、UX/UIデザインを中心に多大な貢献をしてくれた」と賞賛の声をいただきました。
A.C.O.は、現在もサービスの更なる拡充に向けた支援を続けています。
プロダクトからサービスサイトまで、一気通貫で開発

1.プロダクト開発
SBIBS社では、これまでに蓄積してきた経理ノウハウを凝縮したプロダクトとして『請求QUICK』のプロトタイプを制作していました。しかし社内レビューの結果、ベストなものを目指すにはデザイン・機能設計の面での見直しが必要と考え、A.C.O.にご依頼を頂いたことで今回のプロジェクトがスタートしました。
ドメインリサーチで理解を深める
A.C.O.はまずはじめに、経理という専門性の高い領域に対する理解を深める必要があると考え、ドメインリサーチを実施。SBIBS社に紹介頂いた取引企業をはじめとする計6社の経理担当者のもとを訪れ、業務フローを再現して頂き、その観察・ヒアリングを行いました。これにより、SBIBS社と同じ視座でプロダクトについて考え、議論できる状態をつくりだしました。
オブジェクトの整理と各種設計
ドメインリサーチによって得た理解を元にオブジェクトの整理を行い、UIクラスを作成。ナビゲーション設計、画面設計を行いました。特に、プロトタイプでは同一オブジェクトに対するアクションを行う際、別々のページからその操作を行う必要がある仕様となっている部分が多くあり、それらを整理することで操作上のフローを整えていきました。
ウォークスルーによるブラッシュアップ
実際のさまざまな操作パターンに対して、正確に機能するかどうかの検証が必要と判断。ウォークスルーと呼ばれるレビューを取り入れ、複数の関係者に成果物についての説明とシミュレーションを行い、問題点を洗い出していきました。その結果を受けてディスカッションを何度も行い、権限設定の点で処理が行き詰まるなどの仕様上のバグが起こらないよう、改修を重ねていきました。
一般的に、昨今のITツールはオープンな状態を基本とし、必要な部分をクローズドにする仕様を用いる傾向があります。しかし、経理業務の実態に必要なのはその反対の仕組み。『請求QUICK』もクローズドを基本とし、必要に応じてオープンにしていくという思想でした。閲覧権限をつけるほど設計・開発としては複雑になっていく中で、さまざまなケースに対応できるプロダクトにするために、この工程が非常に重要な役割を果たしました。

2.サービスサイト開発
プロダクトのUX/UIデザインがほぼ完了したところで、サービスサイトの開発にも着手しました。当初はシンプルなものを想定していましたが、議論の結果、これまで対面で実施してきたサービスを非対面・オンラインに置き換えたサービスとして展開するには、より丁寧で網羅的な情報が必要という判断に至り、サービスサイトもつくりこんでいきました。
コピーライティング&イラスト外注
サービスサイトの開発では、コピーライターやイラストレーターの方にも参加頂きました。これまでアナログで経理作業を行っていたような方でも簡単に使い始めることができるよう、多くの案の中から言葉を絞りこみ、親しみやすく感じて頂けるようイラストも添えて制作しました。
3.ユーザーサポートサイト開発
平行して、利用者に機能や活用方法をレクチャーするユーザーサポートサイトも開発しました。多くのQ&Aを掲載することで、サービスサイトを補完する役割を果たしています。
専門領域への理解を深め、業務の実態に触れるドメインリサーチ
SBIBS社に紹介頂いた取引先を含む計6社にご協力頂き、ドメインリサーチを実施。実際の経理業務を再現して頂き、その様子を観察・ヒアリングしました。
このドメインリサーチでは、経理という専門領域への理解だけでなく、経理の現場における業務の実態を知ることが目的となります。リサーチを進めていく中で、各社の業務フローをMiro上で整理して比較することで、会社毎にフローが大きく異なることを発見しました。また、どのフローでもWチェックが基本であることなど、ミスが起きないためのシビアな仕組みは、その後の仕様設計でも意識して取り入れました。
経理業務の経験がなかったA.C.O.吉岡は、このドメインリサーチと、50社以上の経理業務のサポート経験を持つSBIBS社代表夏川さまによるレクチャーを通じて、売掛金の概念を知らなかった状態から、SBIBS社の皆さまと同じ目線で議論できる状態まで理解を深めていきました。

機能を元にメニュー化されていたプロトタイプから、オブジェクトを中心としたプロダクトへ
SBIBS社で事前に制作していたプロトタイプは、プロダクトの全体像を理解する助けとなりました。一方で、プロトタイプでは1つのオブジェクトに対してアクション毎に複数のメニューに分かれているなど、操作上のフローに問題があり、A.C.O.ではそれらの整理・統合を行いました。
例えば一例として、電子メールによる送付機能があります。取引先相手は、送られてきたメール内のURLをクリックすると『請求QUICK』上で請求書を閲覧できるという機能で、これによりユーザーは相手の確認状況を把握することができます。しかしプロトタイプの段階では、送付段階のものが集約された「未受領請求書一覧」とは別に「請求書一覧」というメニューが存在していました。発行済み且つ受領済みであることが確認できれば問題はないため、これらを「請求書」として1つにまとめ、個別にステイタスを表示する形へと変更しました。
このように、欲しい機能を元にメニュー化されていたプロトタイプから、全体のオブジェクトを整理して、同一人物が行う処理を一つにまとめることで、プロダクトを磨きこんでいきました。

「らしさ」を細部まで行き渡らせるデザインへのこだわり
プロダクト開発時には、多数のメンバーが参加するワークショップを開催してブランドパーソナリティについての議論を深め、『請求QUICK』の「らしさ」をかたちにしていきました。サービスサイトの開発では、それらをさらに対外的な見せ方へと展開していくためにイラストとコピーをつくりこみました。
プロダクト
ブランドパーソナリティワークショップでは、ペルソナや提供価値、キーワードの整理を行い、ユーザーにとって『請求QUICK』がどのような存在でありたいかを言語化していきました。
ワークショップであがった「親しみやすさ」「機転」「愛嬌」などのキーワードを踏まえて、どのようにプロダクト上で表現すべきかを検討。それらを感じさせる柔らかい印象を与えつつ、ビジネスシーンでの使用に適したものであることも加味し、『請求QUICK』らしいトンマナをA.C.O.益田がまとめました。
サービスサイト
より対外的な見せ方に適したものにしていくためには、『請求QUICK』らしさを感じさせる特徴的で個性的な表現が必要と考えました。『請求QUICK』の世界観を表現できるイラストレーターとして、シンプルで愛嬌のあるタッチと、情報を整理しつつ様々なシーンを描写する力をお持ちの藤田翔さんに依頼しました。
コピーライティングでは、柔らかでユーモアを感じさせるコピーが魅力の根本美保子さんにご依頼しました。ブランドパーソナリティワークショップで出てきた言葉を踏まえて、プロジェクトメンバー全員で何度もディスカッションを実施。『請求QUICK』の提供価値や強みを整理して伝えたい内容を研ぎ澄まし、それらを元に根本さんにライティング頂くことで、より個性を感じる言葉へと磨きこんでいきました。また、経理の方が聞いて誤解を生まないか、フォーカスするポイントは経理の方にとって嬉しいことなのかなど、経理の視点に立った検討も行い、個性を持ちつつ信頼感のある言葉に仕上げていきました。

A.C.O. Journal
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